兎は地球で床に就く

システムエンジニア予定の無職ニートブログ

車輪の国、向日葵の少女感想

 こんばんは。InDexです。

 車輪の国をクリアしたので雑記です。

 

 まず、あかべえそふと2の作品はG線上の魔王のみプレイ済みです。

 G線上の魔王が良かったので車輪の国もやろうやろうと考えていたのですが、どうにも重い腰を上げられずにいました。

 そうして購入して数年……、ようやく着手しました。

 

 ヒロインの話からしましょうか。

 ヒロインはさち、灯花、夏咲(初見、とてもじゃないがなつみとは読めなかった)、璃々子の四人です。さらにここに、唯一樋口健を許さない存在として磯野がいるんですが、残念ながら磯野は攻略対象キャラではありません。尤も、一切の甘えを許さないキャラとして存在しているため、磯野を攻略してはいけないんですが。

 個人的なお気に入りは灯花ちゃんです。

 暗い髪色の二つ縛りって点が大好きなところですね。見た目もいいし、ドジっ子キャラも何とも愛らしいです。

 今まで人生の選択を他人に委ねてきたため決断力に欠けますが、どこまでも純粋な心根を捨てない無垢さが魅力的なキャラクターです。

 育ての母か、産みの父母か。どちらかを選ばずに両者を選んでしまうのが〝子供〟らしいですね。ですがそんな愚かな決断こそ、大人になるにつれ自然と捨ててしまっている心なんですよね。

 なんというか、土壇場で見せる人の強さ。それを灯花ちゃんは教えてくれます。

 

 次に、こりゃあ一本取られたわぁ!って展開ですね。

 まずさち√。さち√とは言っていますが、まなに関する話の方が多くなってしまいますね。

 一切の妥協を許さない厳しい指導者たるまなのおかげで、さちは由緒ある賞を受賞することができます。一度は離れたものの、もう一度再会することができたわけです。

 この、一度は離れてしまうって点がミソですね。あの展開なら、絵は完成してまなは外国に売られない、って思うじゃないですか。でも、絵は完成せず、さちの下にい続ける、そうしたハッピーエンドもあったはずです。

 けれど、そうした場合、さちはまた怠惰な暮らしに戻ってしまうかもしれません。一度まなと離れたからこそ、由緒ある賞を受賞するまでに大成できた、と言えるでしょう。だからこそ、必要な展開だったわけですね。

 さち√最後、成長したまなと再会するシーンは何とも涙を誘いますね……。

 

 次、灯花ルートです。

 折角作ったシチューをぶちまけられても尚、健気に新しいシチューをよそう灯花の姿が印象に残っています。

 何度台無しにされようとも、共に食卓につくため、話し合うために、何度もシチューをよそう姿、ここに車輪の国の諦めない気持ちが出ている気がします。

 何度踏みにじられようとも、何度も立ち上がる。一度は焼け野原と化した向日葵畑でも、七年の歳月がもう一度同じ景色を復活させたことと同様に、幾度辛い目に遭っても尚、人を信じ抜く強さが、灯花にはあったわけです。

 またそれは、人を許す強さとも繋がるわけです。

 

次、夏咲ルートです。

 夏咲ルートはやはり、法月に真っ向から対峙する夏咲の姿でしょうね。

 それまでおどおどと内気な面を見せていた夏咲が一転、賢一の手を繋いで愛の強さを見せつけるシーンです。

 あの笑顔は、ものすんごいカタルシスでしたね。

 

 次、璃々子ルートです。

 まあ、あれでしょう。今までプレイヤーに語り掛けてきたと思しき「あんた」の正体が、誰にも認識されない義務を課せられた璃々子だと判明するシーンです。

 私も最初は、何かしら伏線となっているんだろうな、とは思っていたんですが、度重なるヤクの常飲によりマジで精神を病んでるんだろうな、と思っていました。だから、きれーにきもちよーく騙されたわけです。しゅごい……。

 

 続けて璃々子ルートから、屋上から降ろされた向日葵の垂れ幕のシーンです。

 町民の中に鬱積していた現体制への不満、けれど一様に口を閉ざす中、燦然と煌き、目が離せない垂れ幕が下がったシーンです。

 なぜか、目を離せない正義の象徴たる向日葵の垂れ幕。私にとってそれは、町民の心の叫びを体現しているように思えました。

 車輪の国で一番泣けたのがこのシーンでした。

 不平不満を叫びたい世の中であっても、義務を課せられる恐怖から決して叫べない事実。それを代弁してくれる向日葵の垂れ幕が、非常に重く感じられました。

 

 続けて璃々子ルートから、法月の回し蹴りのシーンです。

 賢一を特別高等人として完成させるために、七年もの間欺いてきた不自由な足のシーンです。

 思考を予測するのではなく、思考を指定した。

 忘れることは無い、法月の名言ですね。悪役とはいえ、圧倒的で威厳のある、魅力的な悪役でした。G線上の魔王にも、浅井権三という魅力的かつ圧倒的な存在感を持った悪役がいましたね。さいこー!!!

 

 続けて璃々子ルートから、賢一が法月を上回るシーンです。

 賢一もまた、たった一つの油断を誘う為、ヤク中である演技をしていました。

 まぁ、正直これはやりすぎ感もあるというか、いまいち説得力に欠けるというか、穴のあり過ぎる活躍のさせ方なのであれですが、しっかりと権謀を張り巡らせていたってのは燃える展開ですね(ケンだけに)。

 

 続けて璃々子ルートから(○○ルートじゃなくて〇章って表記にすればよかったと今さら後悔)、璃々子を背負いながらの絶壁の登攀シーンです。

 これはもう、法月が常々口にしていた「精神が肉体を上回ることはない。精神は肉体に支配されている」のアンチテーゼですね。

 人の生きる意志が、悲鳴を上げる肉体に喝を入れ、もう一度力を取り戻すシーンです。

 法月将臣も、樋口三郎も成し遂げられなかった本当の人の強さ。逆境を意志の力で跳ねのける魂の煌き、それがここにはありました。

 私の解釈ですが、法月が真に渇望していたのは正にこれだったのではないでしょうか。

 あらゆる大切な人、物を失うことで完成する特別高等人だからこそ、人の強さを見せつける賢一に、期待をかけていたのではないでしょうか。

 真相は分かりませんが、ファンディスクで描かれるんですかね。どうなんですかね。

 

 とまぁ、こんな感じです。

 車輪の国、面白かったです。

 個人的にはG線上の魔王の方が好きですが、ファンディスクもやってみたくなりましたね。

 

 というわけで皆々様。

 ここらで兎は床に就かせていただきます。

 よーし!今日もびりっと頑張るぞー!!!

 

PS.灯花の「ぶっ殺すぞ!(舌ったらず)」が賢一にしか聞こえてないのって、マジでただのホラーだったの?