兎は地球で床に就く

システムエンジニア予定の無職ニートブログ

やがて君になる、のアニメを見た感想

 こんばんは。Indexです。

 本日はやがて君になる、のアニメを見た感想を綴っていきます。

 

緊迫感がや~ばいアニメ

 回を追うごとに胃痛がしてくるアニメです。

 序盤は小糸ちゃんと七海ちゃんの百合百合した感じが見られて「ぐへへ~」って感じでした。恋をしない小糸ちゃん、恋なんてできないと思っていたものの、小糸ちゃんに恋をしてしまった七海ちゃん。小糸ちゃんが”恋をしない”という前提があるからこそ、全幅の信頼を置いて甘えられるという歪な構図、これが何とも安心感のある百合として成り立っているんですよね。

 好きにはならない、と公言しているからこそ、幻滅・失望への不安を抱かずに甘えることができる、なんとも素晴らしい関係ですね。

 なぜこんな歪な関係になっているのか。七海ちゃんは7年前に大好きな姉を亡くしており、それ以来理想の姉に近づこうと『文武両道で完璧な自分』を演じるようになります。姉を亡くす前の自分とは、自信も無く、勉強も得意では無い極々普通の人間でした。だからこそ、仮面を被って強がる自分を演じるのは辛く、誰かに甘えられる逃げ道が欲しかったのです。『完璧な自分に価値を感じる他人』に甘えてしまえば、完璧な自分への期待を裏切る結果になり、だからこそ、自分のことを好きにならない小糸ちゃんこそ、七海ちゃんの求めていた存在だったのです。

 理想の姉を演じなければならず、本当の私は胸の奥底に封じ込めなければならない。けれど、本当の自分を受け入れてくれる拠り所も欲しているという矛盾。非常に複雑だけど、いい設定だなぁ、と思います。

 

 じゃあなぜ、緊迫感がや~ばいアニメなのか、というと、回を追うごとに『小糸ちゃんが七海ちゃんのことを好きになりつつあるから』です。

 七海ちゃんの求める小糸ちゃん像とは『私を絶対に好きにならない』という前提あってのことです。ここが緊迫感というか、ハラハラさせる胃痛の原因なんですね。

 

 そもそも、小糸ちゃん本人は『人を好きになりたい』という欲求を持っているんですね。恋愛の歌やドラマ、小説というフィクション作品が好きであり、恋愛に関して非常に期待していました。人を好きになるって、素晴らしいことなんだって。羽が生えてどこまでも飛んで行ってしまうような、そんな心躍るようなこと。けれど、現実は真逆であり、小糸ちゃんは誰かに告白されても有頂天になって羽が生えて小躍りすることも無く、ただただ無感だったのです。

 素晴らしい物と思っていた恋愛だったのに、自らにそのときめきを感じる才能が無かったんです。

 そう、才能は無いと、思っていたんです。でも、七海ちゃんと同じ時間を過ごす内に、心に触れる度に、キスをする度に、小糸ちゃんは七海ちゃんに惹かれていきます。好きになってはいけないのに。好きになってしまえば、『七海澄子の好きな小糸侑』では無くなってしまうから、小糸ちゃんは自らの気持ちに蓋をします。

 

 この好きになってはいけないのに、どんどん相手に心惹かれていく感じ……これが非常に胃痛で面白いんです。

 

 THE・百合……って感じで非常に面白いです。サブキャラも面白いキャラが多いんですが、敢えて触れません。サブキャラに触れるとちょっと大筋から離れて乱文になりそうなので……。

 

 そんなアニメだったんですが!!非常に興味深く胃痛を感じながら見ていたんですが!!終わり方が酷いですよ!!あそこで切るなんて酷すぎますよ!!せめてあと3……、いや2話あれば!!生徒会演劇までいけるでしょう!!頼んますよほんまに!!こんなん原作を買わせるアニメとしては最高なんでしょうけど!!アニメの出来が素晴らしかっただけに!!第2期が待望され過ぎるよこんちくしょーっ!!

 

 ……まぁ、というわけで、ここからはどうなっていくのかちょっと予想していきます。

 

 小糸ちゃんの抱える一番の問題点とは、『好きになってはいけない七海澄子のことが好きなこと』なんです。でも、小糸ちゃん自身はその問題を解決するというよりは、『理想の姉を演じる七海澄子が押し殺す、本当の七海澄子を取り戻して欲しい』って願いの方が強いんですよ。つまるところ、自らが抱える問題よりも優先すべき他人の問題があるっていうのはつまり……その他人のことが大好きだから、ですね。もう小糸ちゃん完璧に七海ちゃんのこと好きじゃ~ん!

 ってな訳で、次なる小糸ちゃんがやらねばならんことって言うのは、『七海澄子に自分を好きになって貰うこと』『姉を演じなくても自分を許してもいいと思えること』の二つです。まぁ似通っている部分も多いので実質一個みたいな感じなんですけど。

 これを解決するには、正に今やっている生徒会演劇を成功に導くことなんですよ。過去に囚われず、記憶を無くした今の自分が本当の自分ってことです。演劇を大成功に収めることができれば……きっと七海ちゃんも、自らが課した呪縛から解放されるのではないでしょうか……。

 でも恐らく、七海ちゃんが自分を許す最後の一押しは、小糸ちゃんでは無いと思います。七海一家の父親が恐らく、慕っていた姉の別の角度の思い出話をして、自分を許せるようになるのではないでしょうか?恐らくそういう話になるんじゃないのかなぁ?

 余談ですが、澄子がなぜ姉を演じることに固執する理由についてなんですが、それは周囲から「姉の死を無駄にしないで必死に生きろ」という言葉が呪いになったのではなく、あの日交通事故に遭ったのは自分のせいだからと考えているからです。醤油の買い物を頼まれた澄子と姉。じゃんけんで勝った澄子は行かなくて済み、姉は帰らぬ人になってしまいました。

 

 閑話休題

 んで、それでおしまい、ハッピーエンド、では終わらないんですよ。なぜなら、過去を許せるようになった澄子にとって、小糸ちゃんは魅力的に映らなくなるからです。

 澄子にとって小糸ちゃんとは、『理想の姉を演じる自分と、自信の無い臆病な自分とのズレが生んだ逃げ道』として魅力を感じていたからです。つまるところ、理想の自分を演じなくても良くなり、本当の自分を出して生きていくことが可能になるからですね。そうなると小糸ちゃんの存在はいらなくなるわけです。恐らく小糸ちゃんもそれを分かりながらも、澄子に自分を好きになって貰う選択をすると思います。『好きになって貰えなくなっても、澄子には自分自身を好きになって貰いたかったから』ですね。

 それ、ヤバくねぇか。それこそ、愛じゃんよ……。

 で、まぁ、初恋の相手を想うが故に、自分への好意を無くした小糸ちゃんは失恋するわけです。自らの手で、初恋を殺すわけです。

 や~ばいね、これ。自分を受け入れて家族仲が回復し(元々悪くは無いけど)、幸せになる澄子を見て笑顔になると同時に、失恋の胸の痛みで大号泣する小糸ちゃんの姿が手に取るように分かります……。

 あぁ、これは……やがて君になる、買うしかないよなぁ!?原作漫画は確か完結しているはずなので、明日早速買いに行きますよぉ!!

 

 というわけで皆々様。

 ここらで兎は床に就かせていただきます。

 すやぴっぴ!!